最近、どこを見てもAI、AIという時代になってきました。特に「生成AI」という言葉は、もう日常的に聞くようになったのではないでしょうか。ChatGPTなどのAIツールを触ってみると、確かに驚くほど便利です。しかし、そこから一歩進んで「自社のビジネスで本当に活用する」となると、意外と多くの壁にぶつかります。
今回は、生成AIを「触る」から「本当に使う」に変えるための視点をシェアしたいと思います。
壁その1: プロンプトエンジニアリング
最初の壁は、プロンプトエンジニアリングです。これは、AIへの「質問の仕方」のことですが、実はかなり奥深いのです。
最初は「〇〇について教えて」くらいの簡単な質問で良いのですが、ビジネスで具体的な成果を出そうと思うと、もっと詳細な指示が必要になります。例えば:
- 「あなたは〇〇の専門家です」
- 「〇〇という背景で」
- 「〇〇という目的を達成するために」
- 「〇〇という制約のもと」
- 「〇〇な形式で情報をください」
このように、かなり具体的に指示しないと、期待通りのアウトプットはなかなか得られません。まるで優秀な新人に仕事を教えるみたいに、試行錯誤しながら最適な指示を見つける必要があります。
参考になる記事も多数公開されています。例えば、こちらの記事などが参考になります。
壁その2: 情報の正確性
次に大きな壁が、情報の正確性です。生成AIは時に、事実と異なる情報をそれっぽく生成する、いわゆる「ハルシネーション(幻覚)」を起こすことがあります。
個人で使う分には「面白いな」で済みますが、ビジネスで使うとなると大問題です。特に顧客に提供する資料や社内報告で間違った情報を使ってしまうと、信用問題に関わります。
そのため、生成AIが出した情報に対しては、必ず複数の情報源でファクトチェックをする癖をつけることが重要です。例えば:
- Googleでキーワード検索して、信頼できるメディアや公式発表を確認する
- 複数のAIツールで同じ質問をして、結果を比較する
- 専門家や社内の詳しい人に確認する
壁その3: 既存業務フローへの組み込み
意外と見落としがちなのが、既存業務フローへの組み込みです。AIツールを単発で使うだけではなく、日々の業務の中にどうやって自然に溶け込ませるかが重要です。
例えば、メールのドラフト作成にAIを使うのは便利ですが、毎回手動でコピペするのは手間がかかり、結局使わなくなってしまうことがあります。
効果的な活用のためには:
- RPAや他のシステムと連携させて自動化する
- 社内ツールに組み込む
- 既存の業務フローのどこにAIを導入すれば最も効果的かを分析する
このような視点を持つことで、AIの真価を発揮させることができます。
壁その4: セキュリティとデータガバナンス
最後に、最も重要な壁がセキュリティとデータガバナンスです。会社の機密情報や顧客の個人情報を、どこまで生成AIに入力していいのかという問題があります。
多くのAIサービスは、入力されたデータをAIの学習に使う可能性があると言われています。うっかり機密情報を入れてしまい、それが外部に漏れてしまうなんてことになったら大変です。
企業として、以下のような対策が必要です:
- 「どこまでの情報なら入力していいか」というガイドラインを明確にする
- 社員への教育・研修を実施する
- 専用のエンタープライズ版AIサービスを利用する
IPA(情報処理推進機構)などの公的機関も、AIの利用ガイドラインを公開していますので、参考にすると良いでしょう。
まとめ: プロの支援も検討を
生成AIのポテンシャルは計り知れませんが、その力を最大限にビジネスで引き出すには、単なる「ツール導入」以上の視点と工夫、そして正しい知識が不可欠です。
もし自社だけでこれらの壁を乗り越えるのが難しいと感じたら、AI導入・活用支援サービスのようなプロの知見を借りることも有効な選択肢です。専門家のサポートを受けることで、より早く、確実に成果を出すことができるでしょう。
生成AIという強力な技術を、ぜひビジネスの成長に活かしていきましょう。