経済産業省は11月6日、2026年度のAI関連予算を大幅に拡充する方針を発表した。AI開発企業への投資額は前年度比約3倍の1,500億円規模となる見込みで、日本のAI産業の国際競争力強化を目指す。
今回の予算拡充の背景には、米国や中国に後れを取る日本のAI技術開発への危機感がある。特に大規模言語モデル(LLM)の開発では、OpenAIやGoogleなどの海外企業が市場を席巻しており、日本企業の存在感は限定的だ。
新たな支援策には、以下の主要プログラムが含まれる:
1. **AIスタートアップ支援基金**(500億円) - 創業5年以内のAIスタートアップに対し、最大10億円の出資 - 研究開発費、人材採用費、計算資源の確保を支援
2. **大学・研究機関との共同研究プログラム**(400億円) - 東京大学、京都大学など主要大学との産学連携を推進 - AIの基礎研究から実用化までを一貫してサポート
3. **AI人材育成プログラム**(300億円) - 年間10,000人のAIエンジニアを育成する目標 - リスキリング支援とキャリアチェンジ促進
4. **計算資源インフラ整備**(300億円) - 国内データセンターへのGPUクラスタ配備 - 中小企業やスタートアップが安価に利用できる環境を整備
経産省の担当者は「日本が世界のAI競争で勝ち残るためには、今が正念場だ。官民一体となって投資を加速させる必要がある」と述べている。
一方で、専門家からは「予算規模は評価できるが、実際の執行体制や成果指標の設定が重要だ」との指摘もあり、今後の具体的な実施計画が注目される。